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特集その13~ビールの定義が変わります

今年(2018年)日本でのビールの定義が変更される。
今までビールの副原料として認められてなかった原料を使用していても「ビール」となるのだ。
それまで「発泡酒」として発売されていたものが「ビール」となる。具体的にどういったことなのか考えてみたい。

まずは今までの「ビール」と「発泡酒」の定義と違いをおさらいしよう。 ビールとは 日本の酒税法第3条第12号で次のように定めている。

  1. 麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの。(アルコール分が20度未満のもの)
  2. 麦芽、ホップ、水、及び麦その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもの。(アルコール分が20度未満のもの)但し、その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の十分の五をこえないものに限る。

ちょっとややこしいが、ビールとは日本の酒税法上「麦芽の使用率が67%以上で、副原料として認められているのは麦、米 、 とうもろこし 、でんぷん 、糖類」となる。そして今回ポイントの一つとして「 その他の政令で定める物品を原料 」というものがある。
この認められてない原料を使用したビールのスタイル(種類)として有名なものにベルジャンホワイト(ヒューガルデンホワイトが有名)などがある。
このスタイルはオレンジピールやコリアンダーといった副原料が使用されており、日本では「発泡酒」というラベルで販売されていた。
世界的にはれっきとした「ビール」なのだが*日本で販売する以上は法に則って「発泡酒」と表記していたわけだ。そしてこの「ビールの定義」から外れたものが要するに「発泡酒」というわけだ。
*余談だが欧州連合(EU)はこれを非関税障壁として非難していた。

さて発泡酒というとどうしても「安物」のイメージが付くが、実は発泡酒にも大きく2種類に分けられるのをご存知だろうか。
ひとつは「節税型発泡酒」と呼ばれるもので麦芽比率が25%未満のものがこれにあたり、スーパーやコンビニで売られている大手ビール会社の発泡酒はほぼこれに該当する(他にも第3のビールなどといったものもあるけれど今回は割愛)。
これらはビールと比べ酒税が抑えられており値段の面で有利だった。おそらく一般的にイメージされる「発泡酒」といえばこちらだろう。
一方上記の「認められてない原料を使用」した場合、たとえそれこそ麦芽使用率が100%であろうともビールを名乗ることはできなかった。
これには先述した伝統的なベルギーの多くのビアスタイルの他、様々な副原料を使用したクラフトビールなどで当てはまる。
つまり麦芽使用率の低い節税型発泡酒だろうと、副原料を使用したビールでも同じ「発泡酒」というくくりにされていたのだ。

しかも麦芽使用率が50パーセント以上の場合、税率はビールと同じ
ラベルは発泡酒なのに税金はビールと同じ。(つまり消費者が購入する値段もビールと同じ)
するとどうなるか。
"業者から「イメージは低下するのに、税負担は大きい」などの不満が出ていた。" (引用:毎日新聞)
つまりどうしても発泡酒といえば「安物」のイメージが付きまとってしまう。
ビールマニアであれば副原料がどうあれそれが「ビール」だとわかっているが、それでもラベルの「発泡酒」を見て首を傾げることも多かったのだ。

新しい定義でどう変わる?

そこで今回の改正だが下図の通り新たに副原料として果実や香辛料などが認められ、麦芽の使用率についても50パーセント以上でOKとなる。 つまり全体の5%までで使用できる副原料がかなり増えており、具体的に使用可能となるものは以下の通り。

参考:財務省資料「酒税法等の改正」
  1. 果実(果実を乾燥させ、若しくは煮つめたもの又は濃縮した果汁を含む。)
  2. コリアンダー又はその種
  3. ビールに香り又は味を付けるため使用する次の物品
    1. こしょう、シナモン、クローブ、さんしょうその他の香辛料又はその原料
    2. カモミール、セージ、バジル、レモングラスその他のハーブ
    3. かんしょ、かぼちゃその他の野菜(野菜を乾燥させ、又は煮つめたものを含む。)
    4. そば又はごま
    5. 蜂蜜その他の含糖質物、食塩又はみそ
    6. 花又は茶、コーヒー、ココア若しくはこれらの調製品
    7. かき、こんぶ、わかめ又はかつお節

「こんなのがビールの原料!?」と思われるものもあるが、これらはほとんどかつてビールに使用されたことがあるものだ。(そして「発泡酒」というラベルだったのだ)
大手のアサヒビールは4月から副原料にレモングラスを使った「グランマイルド」を4月に発売すると発表した。
キリンビールも「4月にユニークな副原料を使った新商品を発売する」と予告している。サントリーやサッポロも追従すると見ていいだろう。
ただこういった発表や報道を見て気になるのはただ単に「ビールの」副原料が増える、といった捉えられ方をしている点だ。
これだと従来の「ピルスナー」スタイルに副原料が増えるだけといった誤解も生まれるのではないだろうか。
酒税法での定義が拡大する前からビールは元々多様性のあるものだ。
いくら定義が拡大されたとしても今までと同じ楽しみ方しか提供できないのではあまり意味がない。
併せてビアスタイルの多様性とその楽しみ方いうものも大手含めもっと訴え掛けていく必要もあるだろう。
いつまでも「とりあえずビール」なんて時代じゃない。

書いた人 = マナブ
発行人兼暫定編集長です。
趣味はビールの他はジムで踊る(ZUMBA!)、料理、猫、ボーっとするなど。 最近はビール系のイベントとジムのダンスレッスンが被ったりすることが悩みというノーテンキさ。
好きなスタイルは普段飲みはIPA。ジックリ飲む時はインペリアルスタウトとかもスキ。 このサイトはwordpressで構築しています。レスポンシブにも対応。
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