書いた人 = マナブ
発行人兼暫定編集長です。
趣味はビールの他はジムで踊る(ZUMBA!)、料理、猫、ボーっとするなど。 最近はビール系のイベントとジムのダンスレッスンが被ったりすることが悩みというノーテンキさ。
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特集その5~今さら聞けない"クラフトビール"ってなんだ
ここ最近大手のビールメーカーが参入してきたり、コンビニの棚にも「クラフトビール」が並んだりとまさにクラフトビールブームは破竹の勢いを感じるのですが、ここでは「クラフトビール」て具体的になんなのよ、ってところを考えてみたいと思います。
初版2015/7/11
改訂2017/5/19
まず本場アメリカではクラフトビールを次のように定義しています。
- 小規模であり(年間生産量が600万バレル以下)
- 独立しており(クラフトビール醸造者ではないアルコール飲料産業の経営に対する割合が25%以下)
- 伝統的である(麦芽100%のフラッグシップビール(最大生産量のビール)を持っている)
なお日本ではクラフトビールはこれほど明確に定義されておりません。そして上記の定義はビールではなく「ブルワリー(醸造所)」を定義しているように思えます。この定義に沿った醸造所のビールが「クラフトビール」ということなのでしょう。
地ビールとの違い
1994年に酒税法が改正され、ビール醸造免許のための年間最低製造量が引き下げられると全国各地に多数の小規模醸造所が誕生しました。 それぞれの地方のビールということで地酒に倣い「地ビール」と呼ばれブームをまき起こします。 しかし消費者の志向が低価格の発泡酒へと向いていった事や地ビール自体のクオリティ等もあり、次第にブームは沈静化していきます。 それでもビールの国際コンクール等での入賞を果たす醸造所が増えてくるなど、これまでのいわば「地方のおみやげ」から「品質と種類」へとシフトしていき、「地ビール」と呼ぶより「クラフトビール」と呼ぶにふさわしい状況になってきています。
どんなビール?
日本の大手ビール4社は、90種類以上あると言われるビールの種類のうち今まで(実質)たった1種類しか作っていませんでした。 これは日本に限らず、世界的な大手ビール各社のほとんどが「ピルスナー」と呼ばれる種類(スタイル)のビールを主に作っています。 ピルスナーはラガーと呼ばれるビールの種類のうちの一つで19世紀にチェコで生まれました。 爽快な喉越しと軽い苦味で世界中で作られている人気のスタイルですが、日本では長い間、そして今でも多くの人がビールと言えばこのピルスナーを指すものと考えているようです。
繰り返しますがビールは90種類以上の種類に分けられます。
詳しくはべつのページを参照して頂きたいのですが、酵母の種類によって大きくエールとラガーに分けられ、多様な種類が発展しています。
度数が10%を軽く超えるものや、ワインのようなビール、フルーティーな香りのビールなどその特徴をあげて行けば切りが無いほどです。
おそらく大手ビールメーカーは自分たちが作りあげてきた(そして押し付けてきた)「ビールのイメージ」から自分たち自身が抜け出せないのでしょう。
しかし小規模な醸造所ではそう言ったイメージからはかなり自由です。
本来ビールは多様であり、こんなに味わい方が違うんだよというかのように様々な特徴のあるビールを生み出しています。そしてその多様性は、確かな品質に裏付けられることが多くなってきたのです。
その品質は、多くのブルワーの不断の努力で年々確実に上がってきたものです。
クラフトビールは作り手だけで終わらない
そうしたクラフトビールですが普通のビールとの違いを知らないまま、冷やしてグビグビ飲んでしまうのはチョット勿体無い話しです。
ビールは、
温度
グラス
注ぎ方
で味わいが大きく変わる稀有なお酒です。
特に温度やグラスはスタイルに合わせて適切なチョイスをすることでビールの持つ本来の味わいを楽しめるでしょう。(→こちらのページも参照してね)
またビールを日の当たるような棚で販売しているような店には要注意!(あったのよ実際)
日光はビール最大の敵で、あっという間に劣化してしまいます。缶だとその心配はないのですが、そもそもそんなぞんざいな扱いだと温度変化にも弱いビールのコンディションも推して知るべし、です。
つまり作り手が良いビールを作っても販売店、飲み手がビールについて知らないとクラフトビールとして完成しないと考えます。(もちろんビアバーでも同じです。) このように、作り手→販売店やビアバー→飲み手→作り手・・・というサイクルが出来ているところもクラフトビールの大きな特徴ではないでしょうか。 全国各地で行われるビアフェスはブルワーさんが積極的に参加し、飲んだ人の意見を直接取り入れ、あるいは自社のビールを熱心に説明している様子からもそれは伺えます。
クラフトビールは「通過点」でいいのではないか
色々書いてきましたが、クラフトビールという言葉や定義にとらわれ過ぎると本質を見失うようにも思えます。
先に述べたようにビールはまさに多様性の世界で、どこまでがクラフトビール、ここからはクラフトビールじゃないという線引きもまた難しいと思うのです。
ビールには様々なスタイルがあり、楽しみ方もまた様々である。ということが現在のクラフトビールのブームで広く伝われば、後はただただ「ビール」で良いように思えます。
BD.Cの変わらぬ思いは「普通のレストランや居酒屋」などでお店の料理に合わせたスタイルのビールが普通に楽しめる世の中です。
今現在こういったお店ではまだまだビールは「生か瓶か」という極端に狭い選択肢しかありません。(というよりこれは選択肢でさえありません)。
もっともっとクラフトビールの美味しさが広まってくれれば、と思います。
そしてビアバーに行けばビール好きがビール談義に花を咲かせている。
クラフトビールとは何か、と言った議論さえ過去のモノになる日がそう遠いことを願っています!